うれしはずかし朝透析〜喫茶店開業物語〜

お笑い芸人だったえんどう(ほぼ石井)が慢性腎不全を宣告されて人工透析をすることになるも、コーヒーと出会って喫茶店開業を目標に日々奮闘しています!月水金の透析中に更新するというスタイルです!よろしくお願い致します!!

あの日のネルドリップ 前編

【周年ブログ まえがき】

3月でこのブログも3年目に突入した。

周年ブログを何か書かねば…と思ってはいたもののちょうど良いテーマが見つからずどうしよっかなあ。。なんて思っているところに実家に帰る機会があり部屋の本棚にあるちびまる子ちゃんの単行本がヒントをくれた。

僕は本編も好きだけど巻末には「ももこのほのぼの劇場」というさくらももこの体験談を漫画にしたものが載っていて本編と同じぐらい好きだ。

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そうだ。最近よく聞かれる「コーヒー始めたきっかけ」を書こう!となりまして、営業の仕事をクビになってからコーヒーにハマるまでを文字にしてみました。終わりは見えてませんがとりあえず書いてみます。それではどうぞ!!

 

えんどう(ほぼ石井)

 

【あの日のネルドリップ

 

僕は芸人を辞め親を安心させるために就いた営業の仕事を半年でクビになった。

「来月からですがクビ!来月からは更新しないのでよろしく〜。お疲れ!」

向かいに座る部長の顔は笑っていたが目は笑っていなかった。今でもクビの「ビ」を言った時の上司の口の形は忘れない。

先月から「数字上げられなかったらクビ」と宣告されていたものの「障害者だし何だかんだチャンスくれんだろ」ぐらいに思ってた僕はショックを受けた。しかし毎朝スーツを着て満員電車に乗りやりたくもない事務作業でパソコンを叩き、先輩に見られながらガムシャラにテレアポをして何件電話して何件アポ取れたのかを1時間置きに先輩に報告して、営業先では先輩に見られながら無理に笑って先方と楽しそうに喋りこちらの提案をしなくてももう良い」と思うと晴れやかな気持ちだった。

課長からは「契約社員ではなくアルバイトとしてなら雇ってあげる。ノルマも気にしなくて良いのでもしその気があるなら言ってきて」とは言われていたものの「そんな訳ねえだろ」と思いながら課長を提案を聞いていた。

3月から僕は無職の透析患者である。次に何をするなんて算段もなく辞めた。ありがたいことにいろんな人が連絡をくれてご飯食べたり遊びに行ったりしたもののこんな思いが過ぎる。

「もう東京いてもしょうがないし実家帰ろっかなあ。」

芸人を辞めてから東京にいる意味をぼんやりと考えていてクビになったタイミングでさらに強くなった。自分は何も生み出してないただの透析患者であるというのが嫌になってブログを始めたものの環境は何一つ変わらない。結果とりあえず1ヶ月だけ実家に帰り青森でやっていけるのかの検証が始まった。

 

新幹線に乗って実家がある七戸十和田駅に着いた。改札に行くと母親がいて「まあゆっぐりしでげ」とだけ言って迎えの車に乗り込んだ。体ぶっ壊して芸人辞めた時も「帰っでくるが?」と言ってくれてたけど実際はどう思ってるんだろう。

とにかく時間はある。チャリで地元を探索して喫茶店に入ってコーヒーを飲みまたチャリを走らせ適当にご飯を食べて。そんな毎日だった。

ある時商店街をチャリで走ってると木で出来た看板に「Happy TREE」と書かれたカフェを見つけた。何だかオシャレそうなこのカフェは入り口までの通路が暗い。ドアを開けるとヒゲを生やしてニット帽を被った30代後半ぐらいのマスターがドリップしながら「いらっしゃい」とだけ言ってまたドリップに戻る。奥さんらしき女性にカウンターに案内されて僕はカウンターに座った。

 

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